数理模型
数学で扱う曲面や立体、特異点などの性質を、手に取って見られる形にした立体模型。19世紀後半から20世紀初頭にかけてドイツを中心に数学者の主導で盛んに作られ、石膏や金属、ガラスなどで製作されて、各国の大学に教材として広まった。日本では東京大学が第一次世界大戦のころまでに輸入した模型のコレクション2を持ち、写真家の杉本博司がそれを撮影した作品でも知られる。
歴史
1870年ごろ、数学者クンマーがシュタイナーのローマン曲面の模型を披露した。1870年代以降は、クラインやブリルらを中心に、ドイツで模型製作のプロジェクトが進められ、マルティン・シリング社がその製作を担った。シリング社は1932年に模型の製作を中止している。
何を表しているか
ローマン曲面、クレブシュ曲面、擬球、クエン曲面、三次曲面など、数式で定義される曲面の形や、特異点と呼ばれる特殊な点のまわりの幾何学的な性質を表している。
東京大学のコレクション
東京大学大学院数理科学研究科が所蔵する石膏などの模型は、1904年から1937年まで理学部数学教室に在職した中川銓吉が、第一次世界大戦中かそれ以前に輸入したものとされる。2013年3月からはインターメディアテクで約100点が常設展示されており、2015年4月から7月にかけては森美術館でも複数の模型が展示された。
杉本博司の作品
写真家の杉本博司は、東京大学が所蔵する19世紀の数理模型を撮影した作品を発表している。マルセル・デュシャン2の空間への探究や、1930年代にマン・レイがパリのアンリ・ポアンカレ研究所で数理模型を撮影した写真を先行例として意識したものである。さらに、数式をコンピュータに読み込ませ、精密な工作機械でアルミニウムの無垢材を削り出して、自ら数理模型を立体作品として制作した。これらをまとめた作品集『Conceptual Forms and Mathematical Models』が2015年にHatje Cantzから刊行されている。
要確認
- 杉本博司が模型を撮影した場所(東京大学駒場博物館とする資料がある)と撮影の時期
- 杉本博司の数理模型の作品が展示された主な展覧会
- 2015年に森美術館で模型が展示された展覧会の名称