スーザン・ケア
アメリカ21のグラフィックデザイナー。初代マッキントッシュのアイコン2と書体を手がけ、コンピュータの画面に「顔」を与えた人物として知られる。にこやかな表情の Happy Mac、ゴミ箱、ペイントバケツ、腕時計のカーソル、そしてコマンドキーの記号といった、以後のコンピュータ体験の語彙になった図像の多くが彼女の手による。計算機の専門教育は受けておらず、美術史の出身で、アップルに入る前はベイエリアで彫刻家として活動していた。
マッキントッシュのアイコンと書体
1983年1月にアップルに入社し※1、マッキントッシュのアイコンと書体の設計を担当した。名刺の肩書きは「Macintosh Artist」だったという。面接には、方眼紙にドット絵を描きためたノートを持参したと伝えられる。
当時の制約は厳しかった。16×16あるいは32×32ピクセルのグリッド2、白黒の2値のみ、アンチエイリアスもない。この条件下で、何を描いているのかが一目で伝わり、しかも親しみを持てる図像を作る必要があった。方眼紙に升目を塗りつぶしていくという彼女の手法は、刺繍の図案やモザイクの作り方に近く、美術史の素養がそのまま効いた場面でもある。
書体では Chicago が最初の仕事で、これは1984年から1997年までMac OSのユーザーインターフェースで使われ続けた。大文字は高さ9ピクセル・幅7ピクセル、角を丸めない設計だったとされる。
コマンドキーの記号
彼女の仕事のなかでも息の長いものがコマンドキーの記号「⌘」である。四隅にループを持つ四角形のこの記号は、彼女が参照したスウェーデン2の歴史的な記号を集めた本から採られたもので、looped square、あるいは聖ハンネス十字などと呼ばれる図形にあたる※2。北欧では名所や文化財を示す標識として使われてきた。
アップル製品のキーボード3に刻まれ続け、40年以上たった今も現役である。既存の文化的記号をそのまま持ち込むという選択が、結果として非常に長い寿命を持つことになった例といえる。
アップル以降
アップルを離れたあとはスティーブ・ジョブズ2に従って NeXT に移り、創業初期のメンバーのひとり(社員番号10)としてクリエイティブディレクターを務めた。1989年に自身のスタジオ2を立ち上げてからは、マイクロソフト、オラクル、IBM、フェイスブック、ソニー・ピクチャーズなど多くの企業のインターフェース要素を手がけている。Windows 3.0 の見た目の定義に関わったのもこの時期である。
2015年にはピンタレストに加わり、その後ナイアンティックでも仕事をしている※3。2018年にAIGAメダルを、クーパー・ヒューイット・デザイン美術館からは生涯功労賞を受けた※4。作品はニューヨーク5近代美術館(MoMA)のコレクション2に収蔵されている。
要確認
- ピンタレストでの肩書き(product design lead とするものと Creative Director of Special Projects とするもので資料が異なる)
参照
- Susan Kare - Wikipedia
- Susan Kare, Iconic Designer | Smithsonian Lemelson Center
- About Susan Kare | Kare Prints
- Interview with graphic designer Susan Kare | designboom
- Chicago (typeface) - Wikipedia)
- Designing women: Susan Kare
- Susan Kare and the Design Rules Behind the Original Mac's Icons | MindStudio
- Susan Kare | Mount Holyoke College