Sketchpad
アイバン・サザランド(Ivan Sutherland)がMITの博士論文のために開発した対話型の図形描画プログラムと、それを記述した1963年の博士論文「Sketchpad: A Man-Machine Graphical Communication System」を指す。ライトペンで画面上に直接線を描き、描いた図形を指し示して編集できるシステムで、人とコンピュータが線画を介して素早くやりとりすることを可能にした。CADの祖先とされるほか、GUIやオブジェクト指向プログラミング3の源流の一つにも数えられる。
論文
- 題名 — Sketchpad: A Man-Machine Graphical Communication System
- 著者 — Ivan E. Sutherland
- 提出 — 1963年1月、MITに博士(Ph.D.)論文として提出
- 指導 — クロード・シャノンが指導を引き受け、マービン・ミンスキーやスティーブン・クーンズが審査委員会に加わった
同じ1963年には、Spring Joint Computer Conference でSketchpadについて発表している。2003年9月には、ケンブリッジ大学コンピュータ研究所がテクニカルレポート(UCAM-CL-TR-574)として再刊し、アラン・ブラックウェルとケリー・ロッデンによる新しい序文が付いた。
システム
MITリンカーン研究所の大型計算機TX-2(36ビット語で64k語のメモリ)の上で動いた。入力には、ブラウン管の走査光を検出して画面上の位置を知るライトペンを使い、利用者は画面上の図形を直接指し示して操作した。
導入された考え方
- 拘束(constraints) — 線の長さや線同士の角度などの幾何学的な条件を指定し、それを保ったまま図形を扱える
- マスターとインスタンス — 元になる図形(マスター)から複数の複製(インスタンス)を作れ、マスターを変更するとすべての複製に反映される
- 型ごとの振る舞い — 図形の種類に応じた処理を関数へのポインタ2で切り替える仕組みを持ち、のちの仮想関数に通じる考え方を先取りしていた
影響
現代のCADソフトウェアの祖先であり、コンピュータグラフィックス全般の大きな転換点とされる。対象を画面上で直接指し示して操作する方式はGUIの発展に、マスターとインスタンスの考え方はオブジェクト指向プログラミングに影響を与えた。サザランドはこれらの業績により、1988年にチューリング4賞、2012年に京都賞を受賞している。
要確認
- 論文がMITリンカーン研究所のテクニカルレポート(No. 296)としても出されたかどうかと、その日付
- Spring Joint Computer Conference での発表論文と博士論文との内容の違い
参照
- Sketchpad: A man-machine graphical communication system - University of Cambridge Technical Report UCAM-CL-TR-574
- Sketchpad: a man-machine graphical communication system - ACM Digital Library
- Sketchpad - Wikipedia
- Ivan Sutherland - Wikipedia
- 50 Years of CAD - Design World
- Vision and Reality of Hypertext and GUIs: 3.1.2 Sketchpad