デジタルガーデン
個人のウェブサイトやノートを、完成した記事を日付順に並べる場ではなく、考えや知識をリンクで互いにつなぎながら、時間をかけて少しずつ育てていく「庭」として扱うあり方、およびそうして作られた場のこと。未完成の考えもそのまま公開し、書き足しや書き直しを重ねていく点に特徴がある。1998年の「ハイパーテキストの庭」という発想にさかのぼり、2020年ごろから英語圏で広く知られるようになった。
特徴
デザイナーのマギー・アップルトンは、デジタルガーデンの特徴を次のようにまとめている。
- 時系列より地形 — 投稿日の順ではなく、テーマや文脈によるつながりと密なリンクで整理する
- 育ち続ける — 完成することはなく、常に書き換えられ、変化し続ける
- 不完全さを受け入れる — 生煮えの考えも公開する。育ち具合を示すために、「芽生え(seedling)」「つぼみ(budding)」「常緑(evergreen)」といった段階の印を付ける人も多い
- 公開の場で学ぶ — 仕上がった成果だけでなく、考えている途中の過程を共有する
ブログが多くの読み手に向けて日付の付いた記事を届けるのに対し、デジタルガーデンはまず自分自身のために、育てたいものを時間をかけて耕すものだと説明されることもある。
由来
「庭」のたとえは、マーク・バーンスタインが1998年に書いたエッセイ3「Hypertext Gardens(ハイパーテキスト2の庭)」にさかのぼる。バーンスタインは、庭を「農地と原野のあいだにあるもの」と表現し、ハイパーテキストを自由に探索できる場になぞらえた。
これを現在の形に近づけたのが、マイク・コールフィールドが2015年10月にスタンフォード2大学の会議 dLRN で行った基調講演「The Garden and the Stream: A Technopastoral(庭と流れ)」である。コールフィールドは、TwitterやFacebook、ブログのように、情報を時系列に並べて流していくウェブを「流れ(stream)」、ヴァネヴァー・ブッシュのメメックスやウォード・カニンガムのウィキのように、情報を空間的につなぎ、統合し、繰り返し手を入れていくウェブを「庭(garden)」と呼んで対比した。
広がり
2020年ごろ、アップルトンらがデジタルガーデンの実例を紹介したことをきっかけに、アルゴリズム2が支配するソーシャルメディア2の代わりとなる個人の場として、開発者や書き手、知識労働者のあいだで注目を集めた。同年9月には『MIT Technology Review』も、ブログを作り直す新しい試みとして取り上げている。
要確認
- 日本語圏での用例と、いつごろから使われているか
- アップルトンが実例をまとめたとされる2020年4月のTwitterスレッドの詳細
参照
- A Brief History & Ethos of the Digital Garden - Maggie Appleton
- The Garden and the Stream: A Technopastoral - Hapgood(Mike Caulfield)
- Digital gardens let you cultivate your own little bit of the internet - MIT Technology Review
- Digitals gardens: an end to the infinite scroll - CCCB Lab
- On Digital Gardening: A Feral Hypertext in Practice - ACM Hypertext 2024